スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【感想】こんな作品を待っていた! 『悲鳴伝』 【ネタバレ】

物語シリーズしか西尾作品を知らない職場の友人が、わたしが最近発売した西尾維新の小説を移動中に必死で読んでいると話したのを受けて、こう言いました。

「うっかりすると、電車の中で吹き出しそうにならない?」

この台詞を聞いて、あぁ、世間一般の西尾作品に対するイメージはこういうものなのか、と痛感したのでした。


以下、長々と感想です。

悲鳴伝 (講談社ノベルス)悲鳴伝 (講談社ノベルス)
(2012/04/26)
西尾維新

商品詳細を見る




勿論彼女の発言は極一部の読者層の、西尾作品に対する印象でしかありません。
けれど、西尾作品で何が一番有名かと言われれば、アニメ化されヒットした(そして今後は映画にもなる)『化物語』であることは、まず間違いないでしょう。

でも個人的な意見を、独断と偏見に基づいてふてぶてしく言わせていただきますが。
物語シリーズ。
あれは只のお遊びだ。
あの「ノリ」は、それはそれで需要もあるし、西尾センセが小説家として長くやっていくならば、必要な作品群であるとも思う。
でも、あのシリーズが西尾維新の代表作だとは思われたくないのです、いちファンとして。

これは本当にわたし個人の好みの話ですが、やっぱり戯言シリーズが最高なわけですよ。
(付随する人間シリーズや失敗は、とりあえず含みません。)
あるいは、りすかシリーズも素敵です(続き書いて…!)。
単品なら少女不十分も良かったよね。
だから、そういう意味では最長巨編『悲鳴伝』、わたしとしては「いかにも西尾作品らしい」小説だと思いました。
こういう作品が「西尾維新といえば」な作品になってほしいのですが…

さてさて、長い枕はこれくらいにして、本編の感想を。
いやぁ、最長巨編と謳うだけあってボリュームはあった。
今まで西尾作品のシリーズものを読んでた頃は学生だったので読む時間なぞいくらでもありましたが(多少誇張)、今はフリーターとはいえ働く身。
平均1時間20分(乗り換え1回)/片道という通勤時間を駆使して、2日掛けて読破しました。
家事とかやってたら家でゆっくり読む暇とかなかった。

「地球の悲鳴」ということで、真っ先に連想するのは昨年の震災でしょう。
西尾センセがそれを暗喩していたかどうかはともかく、読者の一部が震災を連想することは当然想定していたはず。
被害の規模など全く違いますが、東日本を地球と置き換えれば、限定された場所で無差別に人が死んだ、というのは同じ状況といえなくもない。
そして、野球部の先輩の発言は現実世界で実際に、どこかで誰かが発している可能性があると思う。
その発言に対して主人公のように感じた人も、実際にいると思うのです。

ラノベのようなキャッチーなイラストが表紙を飾っているわけでもない、この『悲鳴伝』という小説。
読者の平均年齢層は、それこそアニメ化された作品に比べたら高いでしょう。
少なくとも、戯言のいーちゃんは大学生だったし、物語の阿良々木暦は高校生で、それよりさらに年下の中学生が主人公――しかも13歳!
主人公と同じ年代の読者は、読者全体の中では少ないんじゃいないかなぁ。

でもそれって、逆にいえば多くの読者が主人公の年齢を経験しているわけで。
皆さん、13歳の時ってどんな子どもでしたか?

この年齢設定がまさに絶妙だとわたしは思いますね。
中学1年生にあたる年齢の子どもって、精神の発達の個人差がとても大きいと思います。
平均的には女子の方が大人っぽい、なんていいますね。
思春期の入り口の年齢でもあり、てつがくのライオンをする子もいれば、まだ自我が芽生えていないのではと思うような子もいたりします。
まぁ大半の13歳は、確たる自己は持ち合わせていない、のではないでしょうか。

そんな13歳の主人公、空々空(そらから・くう)。
普通に読んでても、まぁ普通に、感情移入しにくいキャラですよね。
「空っぽ」というと、わたしは戯言のノイズくん(名前がない)を思い出しますが、空々は名前と違って全然空っぽなんかじゃない。
この年齢にして、「確固たる自己」を持っちゃってる感じなんですよね。
だって中身が全篇通してブレない。

その他登場人物は、例の如く個性的な(なんて便利な言葉なんだ!)キャラばかりですが、やはりここは『地球』をピックアップしておきたいところ。
物語中の敵にして、登場シーンは驚きの見開き2ページ。
人間に擬態して主人公の前に現れました。
しかも人の姿を借りて登場しておいて、あまり重要なこともせず早々と退場します。

地球さんの登場によって分かったことは、どうやら地球が人類を滅ぼそうとしているのは、「人を守るために人を殺す、という発想」が気に食わないから。
で、地球さんいわく、人類は「いつも自滅する」「勝手に滅びる」。
おそらくは、地球上のヒエラルキーの頂点に立ってきた生物が全てそうしてきたように。

話はがらっと変わりますが、剣藤の「才能」を知って以降、読み進めながらずっと思っていたことがあります。
剣藤の才能を活かすには、彼女を身篭らせればいいのではないか。
高校生くらいの少女である剣藤ならば、肉体的には十分に妊娠・出産が可能です。
むしろ適齢期といっても過言ではないくらい。

怪人の子どもが怪人であることもある。
なぜ剣藤に大いなる悲鳴が聞こえなかったのかは定かではありませんが、体質的なものだとしたら遺伝するかもしれません。
できれば剣藤と同じく悲鳴が聞こえなかった男性も1人ほしいところですが、悲鳴が聞こえなかった人類は今のところ剣藤しか確認されていないようですし。

ああ、何も実際に身篭ってもらわなくてもいいですよね。
地球撲滅軍の科学技術がどの程度進んでいるのかは分かりませんが、武器に使われている科学レベルから判断するに人口体外受精や人工子宮の技術も現実世界より発達している可能性は高そうです。
あるいは、最も確実なのはクローンの作成ですが…あくまで、剣藤の才能が体質的なものならば、ですけれど。

ま、作中では描写や説明の少なかった機関や組織、人物が多くありましたが、明記こそされていなかったものの不明室では剣藤の卵細胞のサンプルくらい普通に培養してそうです。
実はもう剣藤のクローンや、遺伝子を引き継いだ子どもが造られていたりして…
ちょっと、この話は人によっては不快だったかな。

まとめ。
戯言シリーズ大好きなわたしとしては、極めて戯言の雰囲気に近いこの作品を「待っていた」と言わざるを得ません。
これだけ長い作品で、語られていない事項が多すぎるというのも、それだけ世界観・スケールがでっかいということですな。
面白かったかと聞かれれば、面白かった。
でも最近の作品なら少女不十分の方が好きかな。

西尾センセには今後もこういう作品をまたたくさん書いていただきたいです。
わたしが西尾作品に求めているのは、こういうのだから。
これ、すっごい個人的な要望だけどね。

『悲鳴伝』は、友情と純愛の物語です。

テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

No title

こんにちは。
私は最近「悲鳴伝」読破しました。

13歳の空々くんは私と同じ年とは思えないほどしっかりしていて
安定した気持ちで読めましたw
西尾さんの作品ではトップレベルにおもしろかったと。

駄文失礼しました

コメレス

>アリス様

主人公の空々くんと同じ年齢でいらっしゃるのですね。
おっしゃるとおり、空々くんは驚くほど思想が一貫しているので、わたしもフラットな気持ちで読んでいました。
西尾作品の中でも、かなり上位に位置する出来栄えだと思います。

13歳という年齢の人が、ろくに挿し絵もなくシリアスで、厚みもある悲鳴伝という作品を読むという事実が、元文学少女(笑)として嬉しいです。
普段は若い方からコメントをいただく機会があまりないので、新鮮な気持ちになりました。
コメントありがとうございました!

つなビィ
カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最新コメント
ブログ内検索
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール

りんご

Author:りんご
鬱、睡眠障害、甲状腺機能低下症、へなちょこ。

*好き*
フィギュアスケート、西尾維新、森博嗣、あさのあつこ、金城一紀、帚木蓬生、アレックス・シアラー、GLAY、L'Arc~en~Ciel、Vanessa Carlton、もやしもん、桃太郎電鉄シリーズ、逆転裁判シリーズ、レイトン教授シリーズ

*嫌い*
甘いもの、辛いもの、虫

カテゴリ
リンク
月別アーカイブ
QRコード
QR
アナライザ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。