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なんでノーミスのキム・ヨナが銀なの?

フィギュアスケートのルールを詳しく知らない人が今回の五輪を見て抱く典型的な疑問が、タイトルのものです。
女子シングルのフリースケーティングで、最終グループの6選手はほとんどミスのない神演技を見せてくれました。
その中で金メダルのソトニコワは、3連続ジャンプの3つ目でステッピングアウト。
一方銀メダルのキム・ヨナは全ての要素をミスなく滑りきりました。
見た目の印象だけで言えば、ミスがあったのにロシアの子が金メダルだなんて、地元上げなのでは? と感じる方も多いでしょう。

結論から先に書くと、技の難易度の差です。
そして管理人は今回のオリンピックの採点は至極真っ当だったと思っています。

まず理解しておきたいのは、今シーズンの女子シングルの採点方法について。
お時間があれば、こちらにざっと目を通していただけると理解が深まります。
お時間のない人は、以下にざっくり説明するので大丈夫。
一番大きく点数に影響するのはジャンプ要素なので、ジャンプについて軽く書きますね。

ジャンプの難易度と基礎点について。

フィギュアスケートの競技会で認められているジャンプは全部で6種類。
ジャンプの入り方で区別します。
着氷は全て右足(反時計回りの選手の場合)。
基礎点の高い(一般的に難しいとされている)順から、
A…アクセル
Lz…ルッツ
F…フリップ
Lo…ループ
S…サルコウ
T…トウループ
となっています。
この順番でジャンプの基礎点も定められています。

とりあえず3回転の基礎点はそれぞれ、
3A…8.5
3Lz…6.0
3F…5.3
3Lo…5.1
3S…4.2
3T…4.1
です。
ルール改正で点数が変わることがあります。

連続ジャンプ(コンビネーション)は単純に基礎点を足し算すればOK。
連続ジャンプ(シークエンス)の場合は合計した点数の0.8倍が基礎点になります。
また、演技後半のジャンプは基礎点が1.1倍になります。

さて、ジャンプについて何となく分かったところで、ソトニコワとキム・ヨナのフリーでのジャンプ要素を見ていきましょう。
採点表(プロトコル)はこちら(pdf)

ソトニコワ
3Lz+3T、3F、3Lo/(後半)2A+3T、3F+2T+2Lo、3S、2A
基礎点の合計:46.13 GOE:7.27 合計:53.40

キム・ヨナ
3Lz+3T、3F、3S+2T/(後半)3Lz、2A+2T+2Lo、3S、2A
基礎点の合計:42.79 GOE:7.28 合計:50.07

基礎点3.34の差をGOEで0.01まで縮めましたが、それでもジャンプだけで3.33の差があります。
ここでは詳しい説明は省略しますが、スピンとステップもソトニコワが全てレベル4で揃えたのに対し、キム・ヨナはスピンが1つレベル3でステップもレベル3。
基礎点で0.6点差、GOEで1.92差となっています。

キム・ヨナはジャンプをクリーンに決めたのは素晴らしかったのですが、バンクーバーの頃に比べて難易度が落ちた構成だったことは否めないです。
というか、バンクーバーの時の構成でも基礎点はソトニコワの方が高い。
ソトニコワの唯一のミスである3連続ジャンプについては、GOEで-0.90ときちんと減点されています。

また、スピン・ステップについてはずっと競技に出続けていなかったから、というのもあると思います。
4年前のキム・ヨナはレイバック・スピンでビールマンポジションを取り入れていましたが、もともと身体が柔らかいタイプではなかったので、競技から遠ざかる期間が長かったせいかビールマンの姿勢はできなくなってしまったようです。


演技構成点について

こちらも細かい説明は省きますが、今回キム・ヨナとソトニコワの演技構成点(PCS)には殆ど差がありませんでした(キム・ヨナの方が若干高い)。
スケーティング自体は当然キム・ヨナの方が上手いが、曲の解釈という意味においてキム・ヨナのタンゴはタンゴらしいパッションが欠けていたように思います。
一方ソトニコワは若さ溢れる感情の爆発がありました。
彼女はスケーティング技術もジュニアレベルからは脱しているし、あれだけの素晴らしい演技をすればキム・ヨナとのPCSの差が縮まってもなんら不思議ではないと思います。


まとめ

競技会のフィギュアスケートは競技=スポーツです。
スポーツにおいて、より難しいジャンプに挑みほぼ完璧に成功させた選手と、そこそこの難易度のものをそつなくこなした選手、どちらの方が勝つべきですか?
あるいは、技術的に難しいことをやった選手が演技構成点で逆転されるのはアリだと思いますか?
(これは、双方ともに技術要素を一定以上成功させた場合にのみ当てはまる、管理人からの問いです。)

(蛇足)
フィギュアスケートのルールは複雑な上に毎年ルール改正が行われるため、理解するのは容易ではありません。
しかしスポーツである以上、基本的に技術面が重視されるべきだとわたしは考えます。
元フィギュアスケート選手で4回転ジャンパーだった中庭健介さんが、女子フリーの演技構成点の加重係数を上げるべきと述べたニュースには心底がっかりしました。
係数を上げたりしたら、今以上に技術面と表現面のバランスが崩れると思いますが…

テーマ : フィギュアスケート
ジャンル : スポーツ

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No title

ソトニコワが金でキム・ヨナが銀の理由は今回の記事でよくわかりました。
そつなく演技をこなしたのに大した点数にならならず下位に位置する選手も、結局は難易度が関係してるんですね。

確かにキム・ヨナの動きは硬かったですね。
実際にテレビの解説者が、キム・ヨナの演技後に同じような話をしていたのを覚えています。

今まで3Aが高難易度ってことくらいしか知らなかったので、難易度順の説明は助かりました!

しかし、ルール改正が毎年あると選手やファンは大変ですな。
選手は各々で得意不得意とかあるだろうし。

りんご氏、フィギュアファンなのは知ってたけど、めっちゃ詳しいんですね...

コメレス

>りばお

この記事はほとんど君のために書いたようなものだよ(笑)
ワタクシかなりディープなスケオタですから…

今回のオリンピックは、こうしてまともに説明できる採点内容だったので良かったです。
少し前までは不可解な採点が続いていました。
採点競技は不正の疑惑がつきものなので、もやっとしますね。

ルール改正(改悪と呼ぶ人もいますw)は本当に大変で、選手やコーチは勿論のこと、振付師も苦労していると思います。
現行の採点システムに変わって約10年、まだまだシステムが確立されていないので、毎年少しずつルールが変わるのです。

今シーズンの大きな試合は、あとは世界選手権。
3月26日(水)、ペアと男子のショートから始まります。
埼玉開催でフジテレビにて放送予定なので、良かったらご覧になってください。
五輪を機に引退する選手も多いので、世代交代も見られる、次の4年間を占う大会です。
つなビィ
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鬱、睡眠障害、甲状腺機能低下症、へなちょこ。

*好き*
フィギュアスケート、西尾維新、森博嗣、あさのあつこ、金城一紀、帚木蓬生、アレックス・シアラー、GLAY、L'Arc~en~Ciel、Vanessa Carlton、もやしもん、桃太郎電鉄シリーズ、逆転裁判シリーズ、レイトン教授シリーズ

*嫌い*
甘いもの、辛いもの、虫

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